【完】俺のこと、好きでしょ?



こんな、何もないあたしなんかのことを想ってくれる人。


あたしは今から、その人に伝える。


勇気を出して……深呼吸を1つ。



そのまま、勢いよく頭を下げた。



「でも、ごめんなさい。あたしには今、好きな人いるの。初めて、こんなにも好きで、諦めたくないって思うような人で……」



思い浮かべるだけで、愛おしくて。


それだけじゃ足りなくて、会いたいと、触れたいと思ってしまうくらい、大切な人。



何もなかったあたしを、満たしてくれるような……かけがえのない存在。



「だから、朝霧くんの気持ちには答えられません」



「……そっか。ちゃんとフッてくれてありがとう、美月ちゃん」



「…………」



「ね、お願いだから、顔上げて?」



言われた通り、ゆっくりと顔をあげた。


申し訳なさに、私の顔はひどく歪んでいたと思う。



「やーっと冷たくない美月ちゃんに会えた。泣いてる姿とか、超レアじゃん!俺はラッキーだな」



< 412 / 462 >

この作品をシェア

pagetop