a piece of you
「おにーさんは?」
「ん?」
「おにーさんは名前、なんて言うの?」
「あぁわりぃ、俺は翼。つばさって書いてたすく。珍しいだろ?」
「へぇ…初めて聞いた。何歳?」
「18。4月に大学入ったばっか。」
「そっか…今日は?お休みなの?」
「いや…んーまぁ、そんなとこ。てかそうじゃん、今日平日だけどお前、学校は…?」
「あたしは、あたしを守るために逃げてきた。家からも、学校からも…」
「そうか…」
やっぱり…。コイツは知ってるんだ。人間の黒い部分を。
「…行くとこないなら、俺ん家来るか…?」
「……うん。」
「こっから15分くらいだから、着いてこい。」
「…分かった…。」
初めは彼女が渋っているように見えていた…。
けど、だんだん、それはどこかガッカリしたようにも見えた。