夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
原田選手がプールから去りそれを追うように先生も出て行った。
だからこの場には私と高岡くんしかいない。
私は自由形のプールで泳ぎこんでいたが高岡くんはプールサイドで仰向けになって寝転んでいた。
腕で目を覆いながら。
何を考えているかは分からないけど悔しさに胸を痛めている事はなんとなく想像がつく。
だって彼にとっては初めての“敗北”だもん。
私だって平泳ぎで負けた時は悔しくて立ち直れなかった。
だからその気持ちは分かる。
だけど。
「いつまでそうしてるつもり?」
タメ息交じりに彼に問っても何も反応が返ってこなかった。
これはかなりキテいるな。
そう思いながら、プールサイドへと上がる。
帽子を脱ぎ、タオルで髪を拭きながらベンチへと座った。
「……」
「……」
私も高岡くんも喋ろうとはしなかった。
沈黙だけが私たちの間に流れる。
ふと、視線をずらせばベンチの淵にストップウォッチが置いてあった。
青の紐だからこれは先生のだ。
忘れていってしまったのだろうか、そう思いながら手に取れば自然に目が見開かれた。
そこに表示をされていたタイムは。
47秒32だった。
それは私の中学時代のタイムを上回っていた。
「自己ベスト更新……」
自分のものではないかと思ったが先生は私のタイムを計ってくれていたから間違いはないだろう。
泳いでいる時に体が軽く感じたのは気のせいではなかったらしい。
そうか。
今までの私はタイムを気にし過ぎていたのかもしれない。
中学時代のタイムを上回らなければ水泳への想いがあの時より小さいと思い込んで。
自分で勝手にプレッシャーを掛けていた。
タイムなんて関係ないのに。
楽しく、本気で、泳げば結果は後からついて来る。
ゴチャゴチャ考えるのは私らしくない。
それは分かっていたはずなのに、いつの間にか色々と考えてしまっていたんだ。
『……フッ、吹っ切れたみたいだな』
ふいに頭に横切るのは原田選手に言われた言葉。
原田選手は直感で気が付いていたんだ。
私が悩んでいる事を。
だから、ああやってわざと煽って私の余計なものを振り払ってくれたのだろう。
だからこの場には私と高岡くんしかいない。
私は自由形のプールで泳ぎこんでいたが高岡くんはプールサイドで仰向けになって寝転んでいた。
腕で目を覆いながら。
何を考えているかは分からないけど悔しさに胸を痛めている事はなんとなく想像がつく。
だって彼にとっては初めての“敗北”だもん。
私だって平泳ぎで負けた時は悔しくて立ち直れなかった。
だからその気持ちは分かる。
だけど。
「いつまでそうしてるつもり?」
タメ息交じりに彼に問っても何も反応が返ってこなかった。
これはかなりキテいるな。
そう思いながら、プールサイドへと上がる。
帽子を脱ぎ、タオルで髪を拭きながらベンチへと座った。
「……」
「……」
私も高岡くんも喋ろうとはしなかった。
沈黙だけが私たちの間に流れる。
ふと、視線をずらせばベンチの淵にストップウォッチが置いてあった。
青の紐だからこれは先生のだ。
忘れていってしまったのだろうか、そう思いながら手に取れば自然に目が見開かれた。
そこに表示をされていたタイムは。
47秒32だった。
それは私の中学時代のタイムを上回っていた。
「自己ベスト更新……」
自分のものではないかと思ったが先生は私のタイムを計ってくれていたから間違いはないだろう。
泳いでいる時に体が軽く感じたのは気のせいではなかったらしい。
そうか。
今までの私はタイムを気にし過ぎていたのかもしれない。
中学時代のタイムを上回らなければ水泳への想いがあの時より小さいと思い込んで。
自分で勝手にプレッシャーを掛けていた。
タイムなんて関係ないのに。
楽しく、本気で、泳げば結果は後からついて来る。
ゴチャゴチャ考えるのは私らしくない。
それは分かっていたはずなのに、いつの間にか色々と考えてしまっていたんだ。
『……フッ、吹っ切れたみたいだな』
ふいに頭に横切るのは原田選手に言われた言葉。
原田選手は直感で気が付いていたんだ。
私が悩んでいる事を。
だから、ああやってわざと煽って私の余計なものを振り払ってくれたのだろう。