アイドル君と私


そして車を立体駐車場に止めて、着いた場所は。


「……えっ?映画館!?」


「うん、入ろ?」


そう言っていつも通りに帽子とメガネをかけた廉が、嬉しそうに言った。


「あっ……でも…」


「えっ?映画嫌いだった?」


「あっ、ううん…そうじゃなくて…」


だって…平日だけど、
この時間帯人多いよー。


そう思った咲は、とまどいながらも廉に聞いた。


「廉くん…入っても大丈夫なの?」


「えっ!?あ―…大丈夫だよ?俺一人でも来るし、友達とかとも来るしっ」


「…そうなんだけど」


“私みたいな、一般の人と入っても大丈夫?”


…って、聞きたかったけど、
廉くんの中で大丈夫な事に私は気づいた。


そう…
私達は……友達だから。


だから“大丈夫”なんだよね?


「…よしっ」


呼吸を整えて、咲は口を開く。


「ゴメン…何でもないの、入ろう?」


「うんっ、良かった」


そして、2人は映画館の中に入って行った。



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