アイドル君と私

「あっ…うん？体調は大丈夫…」


「本当？良かったぁ…心配したぁ―…」


そう言った廉の笑顔にホッとする咲。


やっぱり…。
廉くんと一緒で良かった。


咲も廉に少し微笑むと、車は目的地へ発進する。


ハンドルを握りながら、廉が嬉しそうに口を開く。


「今日晴れて良かったよね～？」


「本当だねー」


「海入れるかなぁ～？」


「えっ！？海入るの？」


「えっ！？ダメっ？」


「いやぁ…まだちょっと寒いんじゃ？」


「マジ？あ～ショック―」


「えっ？ウソ？廉くん本当に入る気でいたの？」


「いやっ…違うよっ？俺も分かってたけどね？一応ねっ？」


そう言いながら廉は照れた顔をした。


「そう…なんだ？」


“一応”って…なんだろう？


咲はそんな久々の廉とのやり取りに嬉しく思いつつ、窓の景色が変わっていくのを見ていた―。