アイドル君と私


ランチがテーブルに並べられ、友香里はご飯に手を付けながら話し出した。


「……元気?咲ちゃん」


「……はいっ」


薄っすら笑みを浮かべる咲に、友香里はふっと笑う。


「……ヘタだよね?」


「…えっ…」


「……嘘…」


「……っ…」


友香里の言葉に、咲はうつむく。


「廉から…少し聞いてるよ…」


「……はい、すみません…」


「何で…謝るの?」


「私…廉くんを傷つけるようなことして…」


咲の言葉に、友香里は微笑んだ。


「そんなことないよ?きっと……誰も悪くないっ…」


「……。」


「……ね?咲ちゃん」


そう言った友香里の笑みが…いつもの廉の優し気な笑みと同じで、咲は手を止め…思わず口を開いた。


「友香里さん…本当は私……離れたくなかったっ…」


「…うん」


「けど…こうするしか……彼を…守りたかった……っひく」


咲の目から、大粒の涙が流れ落ちる。


友香里は咲を微笑みながら…見つめた。


「……ありがとう…廉のこと、大切に思ってくれて……ありがとう…」


咲はゆっくり首を振ってしまう。


「私…そんなことっ…」


「ううん、ねぇ?咲ちゃん…」


「…はい」


「咲ちゃんと同じように、廉も咲ちゃんのこと大切に思ってる……それだけは、分かってあげてね?」


「……はいっ…」


咲はそう言ってうなづいた。


「さっ、食べよ?」


友香里の言葉に咲も涙をぬぐい、
ゆっくり手を進めた。



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