アイドル君と私


「俺……出来るのかな?」


「…なにを?」


「……幸せに…」


「…誰を?」


「たった一人の人も幸せに出来ないのに…5万人なんて俺…幸せに出来るのかな?」


廉の問いかけに、はぁー…とため息をつく江真。


「そんなことだろうと…思ったよっ」


「えっ…?」


「そんなの…廉の気持ちだけだよっ」


「俺の…気持ち…」


「5万人を幸せにしたいと思うのも…たった一人の人を幸せにするのも…おまえの気持ちだけだよっ」


「でも……時々…俺が選んだ道はこれで良かったのか、迷う時があるんだ…」


「まさか…おまえ変な事考えてねーよな?」


「あっ…いや、それはないよっ?Retはかけがえのない…ものだから、離れたりしないっ、彼女の気持ちも大切にしたいし…」


そう言って廉はコーヒーを飲んだ。


そんな廉を見て、江真がそっと口にする。


「……いつかさ…」


「ん…?」


「2人が会える時……絶対に来ると思うぜ?
俺はっ…」


「江真っ……サンキュ、ちょっと持ち直したっ」


そう言って笑顔を向ける廉。



< 515 / 545 >

この作品をシェア

pagetop