約束の小指、誓いの薬指。
僕だって驚いた。


まさか凛音がステージに上がって来るなんて思いもよらなかったし、照れを押しきって言葉を放った瞬間、目の前の凛音が膝から崩れ落ちるように倒れるのだから。


凛音の全身からふっと脱力する瞬間、状況の把握も上手くできないまま、僕は反射的に凛音の身体を支えていた。


正直、他の観客だったらここまで機敏に動けたかどうかわからない。
怪我をさせてはいけない。そんな使命感が全身を駆け巡った。


ここまで無駄なく自然に動けてしまったら、僕たちの仲を怪しく思う人もいるかもしれないと危機感がしたのは、凛音を抱えてステージ袖に運び終えた時だった。
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