約束の小指、誓いの薬指。
いつも忙しくて自宅で仕事ばかりしている愁くんを邪魔してやろうとマンションに押し掛けたのは今から2週間ほど前のこと。
とは言っても、実際に邪魔することなんてできなくて、仕事部屋にこもっている愁くんを確認してからリビングで黒猫のニャン太と遊んで過ごす。


「ニャン太ー、おいでー」


ソファーでクッションと化しているニャン太を呼ぶと、眠たそうに顔をあげてじっと私を見る。
そしてぐーっとけのびをして眠気を醒ますと、ソファーを降りて私の足下にすりよって来た。
この仕草が可愛くて可愛くて癖になる。


「あったかいねー。よしよし」


初めてニャン太と会った時はまだ仔猫で可愛いらしさが強かったけど、今では大人の気品を兼ね備えた猫へと成長している。
あちこち撫で回して、顎の下を指で撫でてあげると、気持ち良さそうに目を瞑っている。
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