感情方程式。
次の日。
今日は放課後に先生は職員会議があるため1人で帰宅する日となった。
だんだんサボる授業の数も減ってきた。
でも、先生に会いたくて空いている授業の時間に図書室に現れる。そんな感じだ。

「麻璃。」
「…何。」

席から外を眺めていると前の席に蓮が座り込んだ。
じっと私のことを見つめてくるのに耐えられず立ち上がった。

「今日の放課後1人?」
「そうだけど。」
「一緒に帰らね?」
「…いいけど。」
「じゃあ決まり。」

昨日の弟の様に眩しい笑顔を向けてきた。
どうしたらあんなに素敵な笑顔を作れるのだろうか。
疑問で仕方なかった。

一緒に下校…。去年ぶりのこと過ぎて少し緊張する。
するとまだこちらを見ている蓮に気付いて、強張った。


「変わったっていうか…昔にだんだん戻ってきたよな。」
「そ、そう…?」
「うん。そんなにあいつが良いの?」
「は?」
「……本当に何もねえの?」
「………?」

しらばっくれた私を悟ったか彼はわからない。
だけど今はこうして置くしかないと思う。
そのまま授業のチャイムが鳴ったので、会話はそこまでだった。

「……‼︎」

廊下を歩いて授業に向かう奏太さんの姿が見えた。
胸の奥がギュッと締まるのがわかる。
声が聞きたい…。
そう思いながら授業に取り組んだ。
蓮にその瞬間を見られたのも知らずに…。


< 39 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop