イジワルな君と私との恋愛事情

昴side

(俺は、ちーのことが大好きだ!)

俺、『三枝昴』、『ちー』こと『片桐ちとせ』。

俺とちーは、『幼なじみ』ってやつで、ずっと一緒にいた。

小さい頃、『結婚』も『誓い合った』仲だったし、てっきり、ちーも覚えてくれていると思っていた。

だけど、ちーは、『他の男』を好きになってしまった。

『雪間梶』。

俺も噂では聞いたことがある。

かなりの意地悪で毒舌家なヤツだと聞いた。

顔立ちは、端正らしいが……。

ちーは、そんなヤツに惚れて、大丈夫なのか?

そう思ったが、そこは幼なじみとして、聞いて、応援しなくてはならなかった。

クソ面白くはなかったが……。

だが、ちーの話を聞いていると、ただ、見つめているだけの様子だった。

少し安心した。

だが、ある日、俺はあえて、わざとちーに『告白』を促すような一言を言った。

俺が、この『一言』を言えば、ちーはきっと、『告白』すると思ったからだ。

俺は、『ずるく』て『汚い』男だ。

ちーが『告白』をして、『フラれる』のを承知で、『励ましのエール』なんかを送ってる。

あわよくば、『失恋』して、『傷ついた』ちーが、『俺に振り向いてくれる』なんて、そんな打算的な考え方もしてた。

ちーに抱きついて、『恒例の甘え方』をしてるのも、すべては『ちーに触れたい』からだ。

小さい頃は、俺は、こんなにデカイ身体じゃなく、ちーよりも小さかった。

だから、どうしても、『ちーよりもでかくなりたかった』。

毎日、牛乳も飲んだりしてた。

中学に入ってからは、バレー部に入った。

俺が中学1年生、ちーが中学2年生の時に、やっと身長を追い越した。

『告白するチャンス』。

そう思っていたのに、ちーにはすでに『初恋の真っ最中』だった。

そして、俺の身長はぐんぐんと伸び、今では178cm。

ちーに『告白』を促してから数日。

相変わらず、ちーの様子は変わっていなかった。

(まだ、『告白』してないんだな……。)

そう思っていたある日、ちーの部屋に行った俺は、『恒例の甘え方』をした。

すると、ちーは、いきなり泣き出したんだ。

俺は、直感的に、ちーが『雪間梶』に『告白』して、『フラれた』んだと悟った。

だから、俺は、ちーを優しく、いたわるように抱きしめたんだ。

ちーは、抵抗もせず、思いっきり、俺の胸の中で、泣き続けていた。

もう少し、ちーの『心の傷』が癒えたら、『告白』しよう。

俺は、ちーを抱きしめながら、そう思ったんだ。







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