イジワルな君と私との恋愛事情

瑠璃子side3

その日の放課後、私は、高行と一緒に帰っていた。

実は、高行は『甘党』で、男だが、『スイーツ好き』で、よく二人で、そういうお店にも行っていた。

今日も、例のごとく、私から高行を誘い、お店に行った帰りだった。

だけど、それは『口実』だった。

私は、今日、高行に『告白』するために、二人っきりで、どうしても帰りたかった。

今、私と高行は、河川敷を二人っきりで歩いていた。

隣を歩く高行は、平然とした顔だが、私の胸はバクバクッと激しく鼓動を刻んでいた。

『好きな人に告白する』。

それが、こんなに緊張するものだなんて、思いもしなかった。

「…あっ、あのさ、高行。」

私は、思わず、声が上ずってしまった。

「うん?何、瑠璃?」

高行は、いつもと変わらずの返事をした。

「…私……。私、高行のことが好きなんだけど……。」

私は、思いっきり、勇気を振り絞って、高行に『告白』した。

高行は、びっくりした顔をして、私たちは、しばらくの間、見つめ合っていた。

だが、先に口を開いたのは、高行のほうだった。

「…ごめん……。俺は、瑠璃のことは『友達』以上には見れないよ……。」

そう言われてしまったのだ。

フラれてしまった……。

分かっていたことだったけど、やっぱり、正直、辛くて、胸の奥がものすごく苦しかった……。

たがら、私は、泣き出しそうになる自分を見られたくなくて、

「高行。先に帰って……。今は、これ以上、二人っきりでいたら、辛いから……。」

そう言った。

高行は、心配そうな顔をしていたが、察したのか、

「…分かった……。じゃあ、瑠璃。また、明日。それから、本当にごめん……。」

それだけ言うと、その場を後にして、帰って行った。

私はというと、高行の姿が見えなくなった後、溢れ出す涙が止まらなかった。

私の『想い』は、高行には届かなかった……。

あのまま『苦しい想い』を秘めたまま『友達同士』でいたほうがよかったのか?

いや、『告白』したほうがよかったのだ。

今は、まだ辛いが、きっと高行となら、また、変わらず、『友達同士』でいられる。

そう思った。

その時だった。

ワンッワンッ。

と、犬の鳴き声がしたかと思って、びっくりして、前を見たら、可愛らしい顔立ちをした男の子が立っていた。

黒い犬を連れて……。

(泣き顔、見られちゃった……。)

そう思い、私は、涙を拭うと、その男の子の横をスッと通りすぎた。

その時に、きちんと頭を下げて……。

その男の子は、通りすぎた私をジッと見つめていた。

だが、私は、失恋のショックのことで、頭がいっぱいになっていて、そんなことには気づきもしなかったのだ。




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