浮気者上司!?に溺愛されてます
脅迫まがいの恋人宣言
『ほんと、奏美のおかげだよ!』


さっきまですごく照れくさそうにしていた同期に満面の笑顔を向けられて、私は反射的に笑い返してしまう。


「そんな……私は何もしてないよ。単に二人はこうなる運命だったってだけでしょ~?」


心にもないことを痛いくらいの笑顔で言いながら、本当は「ももちゃん、高津のことイイなんて全然言ってなかったのに」なんて思ってたりする。
こういう私、痛すぎて自分でもバカだなあ……と思う、けど。


「いや、それでも、水野が取り持ってくれなかったら、なかなか接点もなかっただろうし」


おいおいおい。謙遜するのはそこじゃないでしょ。


高津のヤツ、『運命』ってのは突っ込むつもりもないらしい。
当然返ってくると思っていた突っ込みを期待した空々しい言葉は、完全に空振りだ。
おかげで、「やだ、も~!」なんて照れるももちゃんのかわいらしさだけが高津の中で膨れ上がって行って、私はますます影が薄くなる。


接点もないなんて言うけど、二人とも私の同期で同じ部署の所属だ。
私たち三人はいつも同じフロアでいつも一緒に仕事をしている。


私と高津はよく二人でランチに行ったり飲みに行ったりもした。
誘ってくるのはいつも高津だった。
高津がさっさと私じゃなくてももちゃんを誘っていれば、正直、私が間に入らなくても良かったはずだ。


そう思いながら軽くテーブルに頬杖をついて、向かい側に並んで座る初々しい恋人同士をぼんやりと見つめた。
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