浮気者上司!?に溺愛されてます
ヨメの牽制と妨害宣言
オフィスの私の席から眺めると、恭介はいつも後ろ姿だ。
こうして意識して目を向けてみると、確かにその先にはいつも高津がいて、むしろ高津と何度も目が合ってしまう。
そして私は、その度に慌てて目を逸らした。


視線を向けられ続けることで、その相手を意識する。
恭介が私を気にしてくれるようになったのは、そんな『勘違い』の視線だったはず。
それなら、今こうして私が目を向けてしまう理由を、恭介はすぐに感じ取ってしまうんだろうか。


恋する相手に恋心が伝わる。
それは本来願ってもいない嬉しいことだと思うのに、私はこうやって目を背ける。


今朝――。


すぐそばの恭介の寝息を聞いてドキドキしながら、明け方まどろむだけの浅い眠りから覚めた私に、恭介は欠伸をしながら『おはよう』と笑った。
たったそれだけのことで怖いくらい心臓をフル稼働させて、なんとか身支度を整えた。


一緒にマンションを出て同じ電車に乗った。
そして、オフィスには微妙に時間をずらして出勤した。


『あ~……。俺、昨日とスーツもネクタイも一緒だし。一応奏美と一緒にオフィスに行かない方がいいと思う』


そんなことを気にしたのは女の私じゃなくて恭介の方だ。
こんなところでも、私の恋愛偏差値ゼロっぷりをひけらかしてしまう。
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