浮気者上司!?に溺愛されてます
不敵な笑顔で溺愛宣言
二晩寝て、出勤する頃には、私の心もいくらか落ち着きを取り戻していた。


よく考えたら、パニクったおかげで、どうでもいい個人的事情まで暴露してしまった。
失言に加えて、私に恋愛経験がないことまで……そればっかりはほんとに逃げ出したくなるくらい恥ずかしいけど、桜庭課長が本当に責任を取るつもりで言ってるのなら、丁重にお断りすればいいだけだ。


確かにファーストキスを奪われたショックは半端ない。
それを見抜かれたからこそ、桜庭課長もあんなことを言い出したんだろう。


だけど、この半分は私にも非がある。
普通……二十七歳のOLが恋を知らない化石だとは思わないよね。
そんな希少価値な女が同じ部署の部下にいるとも思わないだろうし、ほんの軽い気持ちで私にぶち当たってしまった課長も、そういう意味では私同様被害者だろう。


だから……ほんとはやっぱり納得出来ないけれど、酔った勢いと思って忘れるのが一番だ。
それが大人の対応、後腐れなくスマートだ。


満員電車で揉みくちゃにされて、朝から疲労感満載になって、オフィスフロアに足を踏み出した時には、なんとか私もそう思えるようになっていた。


よし。とにかく桜庭課長を捕まえて、金曜日のことは忘れると宣言しよう。
私は課長のあの行動を水に流してあげるから、課長も私の恥ずかしい情報は忘れて欲しい。
そう言って後は今まで通り、ただの上司と部下の関係を続けてもらう。
うん、やっぱりそれが正解だ。
何度考えてみても、交換条件として成立する。
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