浮気者上司!?に溺愛されてます
すぐそばに立つ恭介の背中を気にしながら、私は時間になるまで数分待った。
そして、デスクに手を置いて立ち上がろうとして……。


「っ……」


中途半端に立ち上がったまま、動けなくなった。
慌てて恭介を見上げるけど、恭介は私なんか見向きもしない。
隣のデスクの後輩に右手で書類を指し示しながら、仕事の指示をしている。


だけど、私の視線に気づいてることは間違いない。
その証拠に……デスクに置いた私の右手に重なる彼の左手に、キュッと力がこもったから。


私と恭介の身体でうまいこと隠れてはいても、まだ周りに他の社員もいるというのに、こんなの信じられない!
誰かに見られたら、気づかれたら、どう言い訳しようっていうのよ。


ドキドキを必死に押し隠して手を引いて、そのままランチに出かけようとしたのに、恭介の左手が私の右手をギュッと強く握りしめた。
本当に……こんなの言い訳も出来ないじゃない!


俯いたまま、カアッと頬が熱くなるのを感じた。


なんでこんなことするのよ。


抗議することも出来ないまま、私は右手を握る恭介の左手をジッと見つめた。
今日もちゃんと薬指に結婚指輪をはめてるくせに、ほんと、こんなのもう勘弁してよっ……!
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