イケメン王子先輩と私。

私と霰は玄関を出た。その後、お兄さん達も出てきた。


「……ん。乗れ」


「……ていうか、本当にいいの?」


「あぁ、もしアイツに会った時のことも考えてな。時雨兄さん、自転車借りていいか?」


「いいけど、狼になるなよ?」


「なんねーよ!! いくぞ雫」


「うん。漕いでいいよ、霰」


そういった瞬間、霰は自転車をこぎ始めた。――そして作戦決行日。私達5人は、遊真と連れがいるという場所へいった。


「おー、きたか。つか、なんで雫も?」


「……雫は俺のもんだからな。俺達が勝ったら二度と雫と関わらない。俺達が負けたら……雫をお前にやる。……この条件でどうだ?」


「へー、面白そうじゃん。受けて立つよ、その勝負。おい、お前ら。殺れ」


すると、遊真の後ろにいたヤンキーがこっちにきた。怖いけど、頑張らないと。絶対に遊真の彼女になんて、なりたくない……!!そして私達の戦いが始まった。私は殴りかかってくる男達を避けてパンチをしたり、蹴りを入れたりしていた。やばい、疲れてきたかも……。そう思いながら前をむいた時。


「――危ねぇー……。おい、何ボーッとしてんだよ!!」


私を殴ろうとしていた男の顔面を霰が拳で思いきり殴った。


「あ……ごめん、ちょっと疲れてきちゃって」


すると霰は私をお姫様抱っこしてアイツらに見られない場所へと運んだ。……霰?


「無理すんな。あと、何かあったらすぐに叫べよ。俺と雹牙がすぐにいくからな」


「……うん、ありがとう霰」


そう言って私を強く抱きしめて戻っていった。やっぱり霰はかっこいいや……。そう思って静かに笑うと。


「――何がおかしいの?」


「!!」


そう言って私の肩に手を置いてきたのは髪を赤く染めている、ギャルのような子。私と同じくらいの歳だろう。


「だっ、……誰!?」


「あー、あたし? あたしは梅谷桜。塔道遊真の彼女よ」


「そう。……ねぇ、何で遊真はあんな人になってしまったの? 中学の時は全く違ったのに……」


「んー、それは分からないや」


霰達の方を見てみると、あと5人残っている。その中には遊真もいた。……霰、一気に5人も相手してるけど大丈夫なのかな……。すると1人の男が霰の背後にまわっていた。その男の手には鉄パイプ。……霰が危ない……!!気がつくと私は霰の方へ走り出していた。


「! おい霰、後ろ……!!」


時雨さんがそう言った時、男は鉄パイプを振り上げた。


「――ッ!!」


私は間一髪で男の腹と頭を殴った。間に合ってよかった……。


「いってー……。テメェ、女のくせに――!!」


「男なら正々堂々と戦いな! 後ろから狙うなんて……卑怯よ!!」


そう言って私はまた蹴りを入れた。数分後、この戦いは終わった。勝ったのは私達。


「……おい。もう雫に近づくんじゃねぇぞ」


「くっ……、まだ……まだ終わってない……!!」


「――あたし、約束を守らない人は嫌いよ」


後ろから声がして、振り返ってみるとそこには遊真の彼女、桜さんがいた。


「え、この女って……」


雪明さんの隣にいた雹牙さんが口を開いた。


「桜? お前、梅谷桜なのか!?」


「兄貴、この人と知り合いなの?」


「いや、そういう訳ではないんだけど……2日で地元のヤンキー100人ぶっ潰したっていう伝説の女なんだ。……でも何でそんな奴の彼女になってんだ……!?」


「……ねぇ遊くん、約束守らないとどうするって言ったっけ?」


「ひっ……!!」


そう言って桜さんはナイフを遊真の首に突き立てた。


「こ、怖い……」


「あの、桜さん。もう帰ってもいいっすか?」


「あっ、いいよ♪ 遊真にはこれからたぁっぷりお仕置きしておくから☆」


「よろしくっす!」


そして私達はその場を去った。





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