一夜くんとのアヤマチ。
「とにかく、一回話をしてみないと…。先輩、今度の日曜日、お時間空いてますか?」
「今度の日曜日ね。分かった。じゃあその時に顔合わせ、ってことね」

日曜日は、三日後。それまでに、問題が起きないような話の仕方を勉強する必要があった。

翌日。

「ゴメンね、朝から呼びだしちゃって…」
「別にいいって。今は大事な時期だからな。俺の都合がどうだこうだ言ってられない」

一夜くんも家に一人だし、私も家に一人。しかもお父さんとの話をどうするかも決めなければいけなかったので、先輩が帰ってくるまでは二人とも私の家にいるということにした。

「…何か、一緒に住んでるみたいだね…」

まだ鳥のさえずるような朝に男女二人が一つ屋根の下にいるということは、このような例外を除いてはほぼ同居状態ということだった。

「まあ、多分一緒に住むことになると思うけどな」
「えっ?」
「…いや、こっちの話」

はぐらかされたけど、きゅんとした私がいた。

「…あのさ」

だから、私は一夜くんに話しかける。

「ん?」

一夜くんも私のことを好きでいてくれているから、返事をする。

「…今も色々問題もあるし、これからも問題もあると思うけど…」

そんな関係でいられるから、本音で話ができる。

「…私の傍にいてね」

少し照れくさいような言葉にも、応答が来る。

「言われなくても分かってる。俺は日向以外に興味ないから」
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