嵯峨野夢譚(さがのむたん)

嵯峨野夢譚89

八の宮邸の者のために料理の重箱をお届けになります。

天空で源氏が呟きます。
「まめじゃなあ薫は。姫が目当てになったんじゃ」
「そんなことはありませんよ。俗聖の師八の宮のために」
「ふん、将を射んとすれば馬を射よと言うではないか」
二人は天空の暗闇で言い合っています。
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