嵯峨野夢譚(さがのむたん)

嵯峨野夢譚94

「匂宮と遊びのつもりじゃ。まだ子供じゃ二人とも」
「薫は私に似て慎重なのでございます」
「嘘をつけ、何が慎重じゃ。うぶな女三宮姫をかすみ取ったくせに」

「それはあんまりな。打ち捨てられていた姫の心を満たして差し上げ
たのですよ」
「ふん、ならば出家などするものか」
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