First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜

S3 約束のピアス

春雪に報告に行ってから1週間が過ぎた。

最近は授業と勉強が忙しくて、なかなか春雪に会いにいけない。

春雪、どうしてるんだろう。

少しは私のこと、考えてくれるのかな。

思い出してくれたりするのかな。

寂しいな、とか思ってくれるのかな。


少し春雪のことを考えてぼうっとしていたら、先生に怒られちゃった。

同じクラスの紅が口を動かした。

「いろはのドジ」

そう動いていた。

「べにのバカ」

と動かすと、また先生に見つかり、二人そろって怒られた。

紅にも春雪の話はまだしていない。

私だけの秘密なんだ。

この気持ちは、きっと誰にもわからない。

だから絶対に内緒。


授業が終わり、私が校舎の外に出ると、ガードレールのところに制服を着た高校生が寄りかかっていた。

見慣れた紺色のブレザー。

チェックのズボン。

黒いコインローファー。
春雪だ!!

私は嬉しくて思いっきり抱きついちゃった。

春雪はびっくりしたみたいに目を丸くして、私の額をピンとはじいた。

「いろは、最近店にこないじゃん」

「うん、勉強が忙しくって。でもね、私、春雪に会いたかったんだ」
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