First Kiss〜先生と私の24ヵ月〜

S4 ネグレクト

春雪はお墓の階段に腰を下ろした。

私も制服が汚れるのも気にせず、隣に腰を下ろした。

春雪は遠くの海を眺めている。

「海が凪いでるな」

遠くの海は穏やかに暗闇の中にぽっかり浮かんでいた。

涼しい風が頬を撫でていく。

私の長い髪が風に揺れて、顔にかかる。

お気に入りのシャンプーの匂いがした。

春雪は、ぽつりぽつりとしゃべりはじめた。


「俺にはさっきも言ったけど、双子の妹がいた。名前はアキ。亜細亜の亜にジュラ紀の紀、って書くんだ」

私は相槌を打ちながら聞いた。
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