理想の彼氏



しばらくして、
私が落ち着いてくると
彰がベンチに深く座って

「あぁ~あ!明日から
隼人にどんな顔で
接しよう」

隼人の名前を
聞いた瞬間、ドキッとした

すると、ヒョコッと
彰が顔を覗き込んできた

「今、ドキッと
しただろ?」

当てられて、顔が赤くなる

『…っしてないし!!』

クスクスと笑って
いたかと思うと、
いきなり真顔になった

「………隼人は本当に
良かったのか?」

その質問に
ゆっくりと頷いた

『正直、凄く悩んだ。
最初はなんにも
思わなかったけど、
隼人の優しさに
居心地良さを感じた
苦しかったけど、
やっぱり私には
彰しかいないって思った』

「そっか……」

彰は優しく笑って
私の頭を撫でた

「もう迷ったり
すんなよ?」

『しないよ』

二人は穏やかな空気の中、
微笑み合った


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