生徒に恋しちゃいました
「好きな人は一人だけ・・・結城くんだけだもん」

「え?」

何を言われたのか、すぐには飲み込めなくて・・・

ようやく理解した時には、桃子センセイは俺から逃げようとしていた。


「桃子セン・・・桃子っ」

そう叫んで追いかけようとすると、長いドレスの裾が邪魔をする。

破りそうな勢いでドレスを脱いで、慌ててジャージを履いて走り出す。

走りながら、人混みに桃子センセイの姿を探した。


「はぁ。もう見えないし・・・小さいくせに無駄に足はえぇな」

どこ行ったんだろ・・・



「あっ!おいっ、広人」

後ろから誰かに肩を掴まれて振り返ると、俺を追いかけて走ってきたらしいよっしーが息を切らせていた。


「お前、何でまだ着替えてねーんだよ。 ミスターコン始まっちゃうぞ」


「ごめん、よっしー。
俺、今年は棄権するわ」


「は!? いきなり何を言ってんだよ」

呆然とするよっしーを置いて、俺はまた走り出す。


あーあ、三連覇がかかってたのに。

1年の美少年に怯んだと思われんのは癪だなぁ。


そう思いながらも、俺の足は桃子センセイに向かっていた。

桃子センセイだけに。

















































< 51 / 56 >

この作品をシェア

pagetop