世界で一番ソラに恋した。


その日の帰り道は、全てが初めて見る色と、声と、景色だった。


全てが色鮮やかに見えた。




私とソラ君の影が、寄りそって長く長く道に伸びるをの、照れくさく思いながらも手を繋いだ。




「母さんが出て行ったのが一年前ぐらい。離婚届に判が押してあって、荷物が粗方無くなってて、――近所の世話好きなおばさんが、朝、引っ越し屋が荷物を運んで行ったらしくて、超大掛かりだろ?」


口元を手の甲で押さえながら寂しげに笑うと、ソラに浮かぶ半月の様に目を細めた。


「その数日後に、今度は父さんが再婚するって、一緒に住むって言いだしたのが、岳ってやつ」


「あ、再婚相手の連れ子さんなんだ、岳くんって」


そりゃあ、家にいきなり血の繋がらない他人が入ってきたら――帰りたくなくなるよね。


「ううん。連れ子じゃなくて、父さんの子だって」
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