マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
それは、擦れ違う人を凍りつかせる位の破壊力
はあったと思う。
実際、何やったんだ、って顔を何人にもされてしまった。


奏ちゃんの泣き方は、嘘がバレて叱られた子供の様で、駄々を捏ねる様で、拗ねた様で、兎に角こっちに入って来ないで!と言う雰囲気が感じられた。


ただ僕には無理やりそこに入っていく図々しさも、勇気も持ち合わせてない。
子供の頃からそうだった。
進歩がないんだ、本当に。




その後、常任の指揮者であるケビン・アングレール氏が持病の腰痛を悪化させ、しばらく療養するとの事で、契約途中で任期を終える。


そしてその役目が僕にめぐってくることになるのは、数ヶ月先の事になる。
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