マエストロとマネージャーと恋と嫉妬と
子供の頃習っていたピアノ教室の先生は、音楽
にもっと興味を持って貰おうと、色んな曲を聴かせてくれた。


それこそ演歌だろうが、民謡だろうが、昔のアイドルの歌だろうが、知らない国の音楽だろうが、ありとあらゆる物を聴かせてくれた。


その中にこの曲もあった。
先生は曲の途中で、解説をしてくれる。


本当は各々が感じた様に聴けば良いと、先生は渋っていたが僕が駄々をこねて、解説をしてくれる様になった。


「ホラここ。好きな女のひとが出てきはった
よ。」

美しい旋律が流れる。

「ホンマや。」


その美しい旋律に被せる様に、不規則な低音の
リズムが入って来る。
ズンズン、という単純なものだが、やけに気になる。

ん?なんだかこれって…。


「気ぃ付いた?このリズム、女のひと見て
男のひとの心臓、ドキドキしてんねん。」


子供ながらに衝撃を受けた。音楽でこんなことが出来るなんて。

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