元通りになんてできない


「俺の弁当、作ってください」

「…新手のプロポーズみたいね」

「アハハハ。それは今は置いといて。
作戦ですよ。俺のを作れば、鷹山さんも、ちゃんと作って食べるでしょ?」

「幸元君も正直ね。そういう事か…。
まだ作るとは言ってませんけど?フフフ。まあ、いいですけど。でも、受け渡しはどうしたらいい?」

「朝、此処で受け取ります」

「うん」

「返すのは、前みたいにデスクの足元に置きます」

「大丈夫?」

「何がです?」

「ほぼ毎日そんな行動、上手く出来るとは思えないけど?」

「発覚したらしたで、素直に鷹山さんに作って貰ってるって言います」

「えーーっ!」

大きな声を出した手前、口を押さえた。…遅いけど。

「アハハ、…嘘ですよ。…。
でもそうなったら俺が責任取りますから、安心してください、大丈夫です」

「どう、大丈夫だって言うの?」

「まあ、まあ。早々バレルような行動はしませんから、任せておいてください」

「そう?何だか上手く丸め込まれた気がする…」

「大丈夫ですって!」

「ふぅ、まあ、いいか。来週からでいい?」

「明日からです」

「明日からっ!?」

「はい、明日からよろしくお願いします」

お弁当は知里ちゃんを思い出すようで辛いかもしれない。最初はおかずを作りながら、そして詰める時も、手は止まってしまうかも知れない。作れなかったと言われてもそれはかまわない。
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