元通りになんてできない
めでたい<ツライ


「いや〜、おめでとう」

「…有難うごさいます」

何だろう?

「ああ鷹山君、こっちこっち」

「はい?」

幸元君の居る側に近づいた。…?

「いや〜、めでたい話だよ。幸元君が結婚するそうだ」

「うわ、本当?おめでとう」

「有難うございます…」

「何でも、式は北海道でするらしくてな」

「へえ、素敵ですね。勝手に想像してしまう」

「いやぁ、幸元君は男前だし背も高い。そりゃあ、君の言う通りだよ」

…いやいや、私は北海道が素敵だと言ったつもりだったのだけど…、まあ、幸元君が素敵っていうのも間違いでは無いけど…。

「こっちでする披露宴は友人のみでするそうだから、私らは祝い金だけって事になるな。
余程、奥さんを見せたくないらしい。取ったりしないのにな〜。ハッハッハッ」

…いやいや、そんな貴方ですよ、多分会社関係、上司に出席して欲しくないからでしょ?
空気を読みましょうよ…。

「何だか、すみません」

「いや、いいいい。何も気にしなくて良い。若いもんは、若いもん同士が盛り上がる。
一生に一度の事だ。思うようにするのが一番だ」

そう言うと、バシバシ幸元君の背中を叩き、狸オヤジは出て行った。

「もう…、幸元君。彼女いたんじゃない」

「いや…、居たっていうか、最近といえば最近の事なんです。知り合いが強引に紹介してきて…」

「そう。でも良かったわね。結婚、出来るじゃない。無理っぽい事言ってたけど、決まる時は本当、文字通り、とんとん拍子なのね」
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