元通りになんてできない
報告≦相談


ナイ…。コナイ…。オクレテル…。

間違いない。熱っぽいし、怠い身体。なんだか…胸の張りも感じる…。
風邪ではない、と思う。

検査薬を試すまでも無い…。
妊娠している。経験のある私には解る。

ふぅ…。いつまで仕事続けられるかしら。
大事な事だから、早く話しておかなきゃ…。



「すみません、突然お呼び立てしてしまって」

「どうした、何かあったのか?」

「妊娠、しました」

迷いなく話せている自分が不思議だった。

「妊娠?…間違いないのか?…本当なのか?」

「病院はまだですが、間違いないです」

「そうか…」

「それで、私はいつまで仕事していいのでしょう。ギリギリ迄…、希望すれば可能なのでしょうか」

「そうだな。体調もあるだろうからな。今は、悪阻はどうなんだ?」

私は首を振る。

「悪阻は軽い方だと思います。匂いが少し気になるくらいで」

「匂いか、…大丈夫なのか?オフィスにあるモノの中で、キツいモノとかは無いのか?」

「大丈夫です。優しいですね。そんなに細かく聞く男の人は初めてです」

「希望、いや、願望かな…」

「願望?」

「ああ。俺には子供は居なかったからな…。妊娠した女性を、気遣ってみたかったのかも知れない…」
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