元通りになんてできない

俺は棄てていいと言われていた容器を、今、給湯室で洗っていた。容器はてっきり簡易な物でゴミにするような物かと思ったらそうじゃなかったからだ。
営業車で帰って来た時は2時を回っていた。
ちょっと寄り道もした。
中途半端な時間だから出入りする人も居ない。綺麗に洗えた事を確認して、丁寧に拭いた。
そしてポケットから取り出したモノを入れ、蓋をし、ハンカチで包んだ。
紙バッグに入れ、持ち出した。

室内を見回して、人が居ないのを確認して鷹山さんのデスクの足元に置いた。
どうやら会議室で資料を広げ、ホチキス止めの作業をしているようだ。

俺はメールをしておく事にした。
棄てられては困るから。気がついてくれるようにだ。


ブーブー、ポケットで携帯が震えた。

知里?知里に何かあったのかも。そう思って慌てて見た。

…あ、違った。…珍しい。幸元君からだ。初めてだわ…。

「弁当、旨かったです。ご馳走様でした。
公園で彼女の弁当と勘違いされました。
ラッキーでした。
洗ってデスクの足元に置いてあります。
“絶対"棄てたりせず、必ず持って帰ってください。幸元」

絶対って…、取り敢えず持って帰ればいいってことよね。
何だか改めて聞かないと解らないような部分もあるけど…。
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