元通りになんてできない
嬉しい悲しい

今年の知里の誕生日は日曜日。
昼間、二人でプレゼントを買いに行ける。


雑貨屋さんを覗いて見た。
ある一角に希望のうさぎが沢山並んでいた。
ぬいぐるみがいいのか、それとも小物になっているものがいいのか、見ていた。

「おかあさん、これがいい」

それは幸元君がくれたものと同じ、キーホルダーの黒うさぎバージョン。

「知里、保育所のバッグには一個しかつけられないのよ?」

「うん、かえっこする」

付け替えるって事か。

「あしたはしろうさたん、つぎはくろうさたん」

なるほど、日によって付け替えたいのね。

「じゃあ、これがいいの?本当にこれでいい?」

「これがいい」

念押ししても気紛れな時があるけど。今回は気に入ってるからこれで良さそうだ。

「じゃあ、あのお姉さんのところに持って行って、袋に入れて貰おう」

「はい。おねがいします」

「はい、有難うごさいます。プレゼント包装にされますか?」

「はい、小さくて、ご面倒ですがお願いします」

「いえいえ、娘さんは何色が好きですか?リボンの色、何色にしましょう?」

「知里、何色が好き?」

「あお」

「青?」

言い間違いがあると二度手間になるから近くの小物の色を見せた。

「知里、青はこれよ?これでいいの?」

「これ。あお」

「解った。すみません、青でお願いします」

「畏まりました。すぐお付け致しますね」

知里、青、いつ好きになったのかしら…。

「お待たせしました。…はい、どうぞ」

お姉さんに直接渡して貰って、ぐにゃぐにゃして照れていた。
すみませんと言い、代わりに受け取った。

「有難うございました」

「ばいばい」

「バイバイ」

照れても手は振れる。

店を後にした。

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