BEAST POLICEⅢ
その中の一室。

この部屋は、嘗て何に使われていたのだろうか。

既に判別も出来ないほどに内装は解体され、コンクリート打ちっ放し、鉄筋すら剥き出しになっている寒々とした殺風景な部屋。

その部屋に、巽は監禁されていた。

両手を自身の手錠で繋がれ、天井から伸びたフック状の鉄骨に吊り下げられている。

トレードマークのサングラスは外され、その顔中には殴られた痕。

顔だけではない。

革ジャンを剥ぎ取られた上半身には、無数の打撲痕、火傷があった。

薄く引いたような赤い線は、カッターナイフで切り刻まれた傷だろうか。

死ぬに死ねない、壮絶な拷問の痕だった。

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