白雪と福嶋のきょり
そして感嘆や驚愕、褒める声が次第に大きく多くなっていく。

「何でお前そんなに的確なワケ?」
「…雰囲気を掴むのが僕唯一の特技なんだ」

その輪の中で何が起こっているのか分からない困惑と喜びに一人頬を染める彼の目は、常に上を向いている。

白雪の無自覚な手は、サカキにとっては随分な大当たりとなった様だ。

「はいはいはいっ!じゃあさ!俺と白雪は!?結構いけるんじゃね?」

そろそろシャワーを浴びようと椅子から腰を上げ、漸く鞄から取り出されたタオルや下着を持ち輪の後ろを横切ろうとした時。

クラスで最も調子のいい奴が、授業参観中の小学生の様に何度も手を挙げながら言った。

「あ…白雪さんは、白雪さんとお似合いな人は、僕の中ではずっと前から決まってるから。」
「はあー!!?誰だよ!」
「ひ、ひみつです。」


サカキの返答に、俺は軽い息を零した。
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