コールセンターの恋愛事情
署での取調は夕暮れに差しかかった辺りで終わったので、その日のうちに帰宅することができた。

「それにしても、とんでもないバレンタインデーになったな」

辻本さんが言った。

「まさかクレーマーが暴力団だったとは思いもしなかったよ」

内場さんがやれやれと言うように息を吐いた。

「でも、3人そろって生きて帰ることができてよかったです」

わたしは言った。

しかし、翌朝のことだった。

「これは人権の蹂躙だ!」

「何てひどいことをさせるの!」

「いくらリストラの対象者だったとは言え、こんなことをさせるなんてかわいそうだ!」

『発覚、「名取商事」はパワハラ商事だった!』

『追い出し部屋に送り込まれた人数は3人、そのうちの1人は去年4月に入社した新入社員!』

『コールセンターとは名ばかり、その現状とは…!?』

見知らぬ人からの同情とワイドショーで踊っている見出しに、これからの地獄を予感するのだった。
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