チョコレート×キャンディ


「まぁ落ち込むなって! 新人戦出られるかもわかんないしっ」



夏休みにある予定の新人戦。

テニス部は入部希望者が多くて、ちょっと見ただけだけど、上手い子も多い。


まだ入る前だけど、自信がなくなってくる。




こんなマイナス思考、ダメだな……。



「そうだよねっ。それに、同じ委員の人も良い人だし……」



とにかく心配してくれた千香ちゃんに、引きつったような笑顔を作る。



「草太君や石田君とか良すぎじゃん! あたしも話に加わればよかったかも……」


千香ちゃんは眉を下げて、アヒル口。

そして可愛い変顔をつくってくる。



「アハハッ」


自然とでた笑いに、また笑顔が戻ってきた。




トントンッ



後ろから肩を叩かれたようで振り返ってみると、テニス部のジャージを着た先輩がいた。



「ねぇ、体育でタイム計ったクラスだよね?」


ふわふわなショートカットの先輩は、首を傾げて聞いてくる。


今日の授業のことだよね……?


あたしはキョトンとしながら、はい、とゆっくり頷いた。









< 50 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop