チョコレート×キャンディ
「じゃあまたね」



一瞬にして元の表情に戻った桜井君は、姿勢よく帰っていった。




タンッタン....



家に入って、台所でもらったリンゴを8個に分けた。

まな板に包丁が当たる音と、私のため息だけが家を埋めつくす。


綺麗にうさぎに出来たリンゴを一口かじってみる。

野菜みたいにシャキっとした音と、口の中に広がる果汁が、妙に刺激してくる。


甘いのに、酸っぱい。

なんだかレモンみたいだ。



それから、ちょっとだけどショッパイ味がする。


目の前にある窓に顔を映すと、頬にツーと、一筋だけ涙が流れていた。


思わず鼻を啜る。

流れていったところが、なんだか痒くなる。



……何泣いてるんだろ。



自分でも涙のわけがわからなくて、またリンゴを一口かじる。


今度は飛び出した果汁が、私の手を濡らすだけだった。











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