みんな、ときどきひとり
心にモザイク

あれから非通知の電話もかかってこなくなったし、これといった嫌がらせはうけていない。

水月ちゃんとは、学校ではすれ違う機会もなかった。

「優菜、次音楽室だよ。行くよ」と言う梨花の声で、ボーッとしていたことに気がついた。

「うん」と言って慌てて教科書を机から探しだす。

音楽室は南校舎の4階にある。階段を上っていくと、2年2組の教室が見えた。

偶然にもドアの前で会話をしている水城くんが目に入った。

声をかけるには、少し遠い距離に感じてわざと視線だけ送ってみた。

だけど、そんなわたしに気づきもしないで話し続けている。相手は女の子で、後ろ姿だったけど、肩が揺れて楽しそうに笑ってるように見えた。

わたしは、水城くんに気づかれることのないまま、階段を上って行く。

なんだ。

学校で女の子と話しするとこ初めて見た。

無愛想なくせに。

意外な感じ。

まあ、それは、共学高でクラスの半分は女子だし。

水城くんだって、会話くらいするか。

普通のことだ。

ただ、あれかな。

いつだか、好きって感情がわからないとか言ってたのに、ちゃっかり女の子と仲良くしていることに、矛盾を感じてしまったのかもしれない。

変なの。

って、共学高で、クラスの半分は女子だし。

水城くんだって会話くらいするだろう。

好きって感情なんかわからなくても女の子と仲良くなることだってある。

だから、自然なことだって。

なぜか自分に言い聞かせるように何度も何度も頭に浮かんでは振り出しに戻って。

繰り返し繰り返し考えていた。
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