みんな、ときどきひとり
誰かの隣で

「おはよう」

起きてきた母が、キッチンにいるわたしの姿を見て、驚いた顔をした。

「おはよう。早いわね」

いつも母が起きる時間より先にわたしは起きて朝ご飯を作っていた。

「うん。ホットケーキ焼いたの。食べる?」

「朝からホットケーキ?置いてて」

少し怪訝そうな顔をした。

「うん」

いつものように、身支度をする。

3年目になる着慣れたブレザーに袖を通す。

これを着るのもあと4ヶ月か。

そう思うと少し寂しくなる。

ジリリリリリリと、隣の部屋から、大の目覚まし時計が鳴り響いた。

また、起きないんだろうな、あいつ。

うるさいから早く止めないかな。

その瞬間、ピタリと音がやんだ。

部屋から出る気配も感じられない。

また、寝たな。

まあ、起こさないけど。

大はあれから退院して、リハビリも終え、今は元気にやっている。

相変わらず、髪は変な茶色に染めているけど。

それでも、いつか気づいてくれるといい。

自分を大切にしてくれたらいい。

とりあえず。今、元気なら、それでいいけど。
< 348 / 354 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop