夢の中の少女
 私とおそろいの小さな水色の傘から覗く真っ黒な瞳と、不意に目が合う。
 その時私は、その瞳をどこかで見たような気がした。

「っな、何でもない、よ?」

 私はそう答えて気づく。
 …これは、あの夢だ。
 だとしたら、これからこの子は……

「そっか…じゃあ行こうよ!」

 ダメだ、引き止めないと!
 案の定、信号が点滅している。
 彼女は私に笑いかけて、横断歩道に飛び出そうとした。
 私は彼女の腕をつかもうと必死に手を伸ばす。

「ッ!ま、待って!…いっちゃ、…だ……………め…」



 すると、いつの間にか信号が赤になっていて。





キィィィイイィイーーー……!
…ドンッ



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