エリート同期は意地悪がお好き
1.訪れた災難
…目の前で、何もかもが無くなっていく様を、ただ茫然と見つめていた。

真っ赤に焼けながら、崩れ落ちていく。

驚きすぎて涙も出ない。

消防車の音…野次馬の声・・・

真横で聞こえるのに、私には遠くに聞こえてる。

私の住むアパートが、すべて焼き尽くされていく。

・・・そんな中、携帯が鳴る。

低いトーンで、それに出た。

「もしもし」

『…朱莉?…俺、直也』

携帯から聞こえるのは、彼氏の声だった。

「・・・どうしたの?」

今、物凄く直也に会いたい。・・・会って、抱きしめてもらいたい。


『突然なんだけどさ、・・・別れて』

「・・・・・・・・え?」

『ホント、ごめん!!それじゃあ』

呆気なく切れた電話。

別れて?・・・はあ?!

私は思わず叫んだ。

「もう!私、生きてけない!!」
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