エリート同期は意地悪がお好き

司side

…営業部に戻ると、オフィス内がやけに騒がしかった。

中へと足を進めていくと、一角のデスクに、ヤローどもが群がっている。

一瞬首を傾げ、そこへ行くと、俺に気付いた皆が、避けていく。…そう言う事か。

俺の顔は、自然と笑みがこぼれた。

「…お帰り、朱莉」
「…ただいま、…ねぇ何でまた急に、営業部に戻る事になったの?」

「…さぁ?」

分かっているくせに、首を傾げてみせる。

すると、どこからともなく声がした。

「斎藤さんが、この営業部に、必要不可欠な人だから」

その言葉に、目を見開く朱莉。

「人事部から来たやつは、全然使えなくて、って言うか、パソコンもろくに使えない、最悪な奴だった」

次の言葉に、目をパチクリさせる朱莉。

「みんなで、斎藤さんが戻ってこられるように、部長に直談判したんだよ」

その言葉に、嬉しそうな顔をして、目には涙を溜め、周りを見渡している朱莉。

…ここにいる誰もが、朱莉を必要としてる。

それ程、朱莉の事務的センスは最高なのだ。


「…だとさ。いなくなって、たった1か月半だったけどな?朱莉がいないと、仕事が回らないんだわ。大量の事務処理が、朱莉を待ってる」

そう言って意地悪な笑みを浮かべた。

…でも、朱莉はその顔に、嫌な顔一つしないで、満面の笑みを見せた。

「大丈夫、全部任せて」

その言葉に、ここにいた誰もが、安堵の溜息をついた。
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