エリート同期は意地悪がお好き

朱莉side

…それから約一時間後。司が帰宅して、私の顔を見た途端、きつく抱きしめた。

「苦しいよ、司」
「…色々ゴメン」

「・・・どうしたの?」
「…それに沢山、ありがとう」

「ねぇ司、本当にどうしたの?」
「今まで一人で寂しい思いさせたことゴメン。優の事、知らせてくれてありがとう」

そう言って微笑めば、朱莉は満面の笑みで頷いた。

「…黒澤さん、司に何も言わずに行こうとするんだもん。言えなくて苦しかったんだから」
「…言ってくれればよかったのに」

「…そんなことしたら、司が、社長になる事を簡単に諦めそうだからって」
「…どんだけだよ、俺」

そう言って苦笑いする。

「いいお兄さんだね」
「・・・あぁ、憎たらしいけど、いい兄貴だよ」

「本当に血が繋がっているみたい」
「…本当に繋がってなくてよかったよ」

「もう、何それ」

怒る私を見ながら、司は声をあげて、笑った。


「…朱莉」
「・・・なあに?」


「今すぐ結婚しよう」
「・・・」


「もう十分我慢した。何もかも朱莉のすべてを俺にちょうだい」
「…私なんかでいいの?…他に好きな子が出来たとか言わない?」

「…バカ、言うわけないだろ?」

司の言葉に、私は泣き笑いして、頷いた。

「よろしくお願いします」


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