エリート同期は意地悪がお好き
「もぅ、朱莉飲み過ぎだよ。ほら、送るから、店出よう」

「大丈夫だよ〜。一人で帰れるから」

そう言ってヘラヘラと笑う私。

久美は呆れ顔で、ため息をつく。

「司に連絡して、迎えに来させよう」
「ダメ!…ダメだよ。司は大事な接待中なんだから。本当に、一人で帰れるから」

…千鳥足で、ろれつも回っていない私が言っても、説得力がないかもしれないけど。

「久美は、早くダーリンとこ帰りな」
「…わかったわよ。帰るけど、本当に気をつけてよ?朱莉は、自分の可愛さがわかってないんだから…男に声かけられても、無視して帰るんだよ」

「うんうん、わかった。それじゃあね」

久美の言葉を軽く受け流しながら、手をヒラヒラと降って、最寄駅に向かった。

ほろ酔い気分で、駅構内に入る。

…と。

久美の心配が、的中してしまう。

…酔っている私では、振りほどく事も、逃げる事も、出来そうにない。
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