エリート同期は意地悪がお好き
「…じゃ、住むとこは決まったし、買い物でも行くか」
「…買い物??」

キョトンとした私を見て、司は溜息をつく。

「お前なぁ・・・着替えもなんもないだろ?」
「・・・あ」

「タオルとか、パジャマ代わりの服くらいならかせるけど、普段着は無いし、下着は貸せないな」
「ば!バカ、アンタの下着なんて着るわけないでしょ」

慌ててそう答えると、司はプッと吹き出していた。

「わかってるよ、そんな事…ほら行くぞ」
「…ぇ?司も行くの?」

「時間も時間だし、荷物の量考えたら、車の方が便利だろ?」
「・・・うん」

…いつも刺々しい司が、今日はすこぶる優しくて、調子が狂う。

…でも、私の今の状況を考えての言動だろうと思うと、少し司を見直した。


「…おい、何時までぼさっとしてんだよ、行くぞ、ノロマ」
「・・・・」

前言撤回。

やっぱりコイツは悪魔だ。

私は司を一瞬睨み、・・・でも、連れて行ってくれるのは司なわけで・・・

仕方なく後ろをついて行った。


「…女って、何かと物入りだな」

そう言って溜息をつく司。

「当たり前じゃない…これでも、大分セーブしたんだから。早く敷金礼金貯めなくちゃいけないし」

そう言ってぼやく。
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