もう遅すぎた恋

差し出されたその手のひら(過去)

 たしか、中3の修学旅行のこと。
 船が事故にあい、沈んでしまった。

 私は、…その事故で死んだんだ。


 あの時、私は救命ボートのすぐそばで順番をまっていた。
 ボートの定員があと一名になり、私の順番が来たから乗り込もうとした。

 だけどそんな私のすぐ後ろには、泣いている赤ちゃんと、そのお母さんが震えながら順番を待っていたんだ。
 私は、…それを無視して先には行けなかった。

 私は今すぐ振り返って、

『どうぞ、先に乗ってください』

 と言おうとした。
 すると、救命ボートの上から、アイツが手を差し出した。


『おいっ!早く乗れよ!!』
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