それは危険なラブミッション

「ひどい顔ですよ?」


……それはいつものことだ。

とりたてて美人というわけでも、かといって可愛いというわけでもない。
今更麻緒ちゃんに指摘されなくても、重々承知しているつもりだ。

ただ、“ひどい”というのは言い過ぎだと思う。

不意に、麻緒ちゃんがポケットから取り出した小さな手鏡を私へと向ける。


「ほら、ね? 目の下がクマで真っ黒です」

「えっ……」


手鏡を掴み、顔へと近づける。


……本当だ。
ここまで濃いクマは初めて見た。
メークでさえも、全然カバーできていない。
コントに出てくる芸人じゃあるまいし。

これは、麻緒ちゃんの言うようにヒドイ顔だ。


「夕べ、あの後、何かあったんですか?」


心配そうに私を見つめる。

< 21 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop