それは危険なラブミッション

私がオムライスを食べなくなったのは、ルイのことを思い出してしまうから。
動物園の帰り、ここで一緒に“最後の晩餐候補”だと笑い合った夜が、思い返されてしまうから。

あれから3ヵ月。
季節は冬から春に向かってゆっくりと移り変わっていこうとしていた。
ルイとのことがまるで夢だったように、何もかもがルイと会う以前のまま。

ただ一つ違うことと言えば――……


「こんばんは。やっぱりここだったね」


岬さんが私の周りに頻繁に顔を出すことだった。
夕菜が私に向かって肩をすくめてみせる。


「こんばんは」

「今日はたらこスパゲティにしたのか。それじゃ、僕も同じものをいただこうかな」


私の前に置かれた料理を見て顎に手を当てる。


「いつも私と同じものじゃなくて、たまには自分で選んでみたらどうですか？」


たしなめてみると、岬さんはパッと顔を輝かせた。