それは危険なラブミッション

「そもそも、私が西さんの運転する車に乗って行ったら、東城寺さんの関係者だと思われます。それでも大丈夫なんですか?」


何せ私は、岬碧衣さんと鳥居さんの縁談をぶち壊すために送られる刺客なのだから。
わざわざつながりを公開するのはおかしい気がする。

東城寺ルイは一瞬ポカンとした後、すぐに表情を整えた。


「なかなかいい指摘だ」


まんざらでもなさそうに頷く。

普通に考えれば分かると思うけれど……。


「その提案を採用しよう」


なんて上から目線。
偉そうなこと、この上ない。


「では、当日はタクシーでも使うといい」


そう言いながら、胸ポケットに手を忍ばせる。

中から取り出したのは、ブランド名こそ分からなかったけれど、高いに違いない黒皮の長財布だった。

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