それは危険なラブミッション

「はぁ、疲れた」


大きな溜息を吐いて、カウンターにドーンとお尻を預けた。


「綺麗に着飾って、一体どこへ行ってきたの?」

「例の提案」

「……例の提案?」


トレーを抱えて立ったまま、夕菜が視線をぐるりと宙に投げる。
そして、ジェット機も顔負けというくらいの猛スピードで、その視線が私の方へ帰って来た。
隣の椅子を引いて座ると、私の方へ引き寄せる。


「こら、夕菜。もう閉店の準備だぞ」


マスターに言われても、どこ吹く風。
いつも同様に、「アルバイトくんたちがいるでしょう?」と言い放った。

マスターも一度は注意するものの、それ以上は夕菜の性格上危険と判断しているのか、「へいへい」と退散してしまった。


「それで、どうだった?」

「……とりあえずは、知り合えた」

< 78 / 368 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop